猫又
年を経た猫が妖怪化した存在として各地に伝わる妖怪。人や老婆に化ける、踊る、死人や人間を襲うなど多様な伝承があり、中世文学『徒然草』第89段にも「猫また」が登場する。
後頭部が大きく張り出した、僧形・老人風の人物として描かれることが多い。
現在は他人の家へ勝手に上がり込み、家人のように振る舞うという説明が広く知られるが、江戸期の妖怪画だけからその性質すべてを確認できるわけではない。
古い図像だけでは明確な能力は示されず、後世には家へ上がり込む・存在感なく居座るなどの性質が語られる。
古典図像では特定の出現条件は明示されない。後世には家に現れる妖怪として語られることがある。
ぬらりひょんは、大きく張り出した後頭部を持つ老人のような姿で知られる日本の妖怪です。現代では「妖怪の総大将」と呼ばれることも多い一方、江戸時代の妖怪画を見ると、現在のキャラクター像とは少し違った姿が見えてきます。
国際日本文化研究センターの妖怪画像解説では、ぬらりひょんは「後頭部が大きく突き出た異形の僧形の老人」として紹介されています。鳥山石燕の『画図百鬼夜行』など江戸期の妖怪図集にも姿が描かれており、古くから妖怪絵の世界で知られてきました。
鳥山石燕『画図百鬼夜行』は安永5年(1776)刊行の妖怪図鑑です。国立国会図書館にも所蔵・デジタル化されており、後世の妖怪イメージへ大きな影響を与えた資料です。ぬらりひょんも、こうした江戸期の妖怪図像の中で確認できます。
ぬらりひょんについて、全国共通の一つの昔話や明確な正体が残っているわけではありません。日文研の解説では「つかみどころのないさまを擬人化した妖怪」と説明されています。名前の響きや、のらりくらりとした印象から理解されてきた面が大きい妖怪です。
現在は、夕方の忙しい家へ勝手に上がり込み、茶を飲むなどして家の主人のように振る舞う妖怪という説明が広く知られています。ただし、江戸期の代表的な絵だけにその物語が詳しく書かれているわけではありません。HorrorPortでは、古い図像で確認できることと後世に広まった性格付けを分けて扱います。
「妖怪の総大将」という呼び名は、現在のぬらりひょんを象徴する表現です。しかし、江戸期の妖怪図集から「すべての妖怪を統率する存在」という設定が明確に確認できるわけではありません。漫画・アニメなど現代の大衆文化によって、この強力なリーダー像が広く定着したと見る方が安全です。
古い妖怪画では、戦闘能力や超能力が細かく設定されているわけではありません。後世の説明では、人に不審がられず家へ上がり込む、いつの間にかその場にいる、といった「つかみどころのなさ」が能力のように扱われることがあります。
「ぬらりひょんの孫」「ゲゲゲの鬼太郎」など、ぬらりひょんを題材にした人気作品は多数あります。ただし、各作品の能力・性格・設定は創作上のものです。妖怪そのものの由来を調べる場合は、作品設定と古典資料を分ける必要があります。
妖怪画から確実に読み取れるのは、当時「ぬらりひょん」という名称と特徴的な老人姿が共有されていたことです。一方、絵だけから家への侵入方法、妖怪社会での地位、具体的な能力まで決めることはできません。図像資料は姿を知る強い根拠ですが、後世の物語設定をそのまま江戸期へさかのぼらせる根拠にはならない点が重要です。
日文研の怪異・妖怪伝承データベースには、化物絵や百鬼夜行絵に描かれた怪異の名称を扱う記録があり、その中にぬらりひょんの名も確認できます。こうした資料からは、ぬらりひょんがまず図像と名称を通して認識されてきた側面が見えてきます。一方で、「家に上がり込んで主人のように振る舞う」「妖怪の総大将である」といった現在よく知られる物語的設定まで、同じ時代の資料に一貫して揃っているわけではありません。
つまり、ぬらりひょんを調べるときは、古典資料に残る姿、名称から連想された性格付け、近代以降の解説、漫画やアニメで強化されたキャラクター像を分けて見る必要があります。HorrorPortでは、後世の有名な設定を古くから固定された伝承として扱わず、資料ごとの成立時期と役割を分けて整理します。
年を経た猫が妖怪化した存在として各地に伝わる妖怪。人や老婆に化ける、踊る、死人や人間を襲うなど多様な伝承があり、中世文学『徒然草』第89段にも「猫また」が登場する。
首が長く伸びる、または首が身体から離れて飛ぶ女性などとして語られる妖怪。江戸時代の考証では中国・東南アジアの飛頭蛮との関係も論じられ、国内にも多数の伝承がある。
日本の宗教・説話・民間伝承・芸能などに広く登場する怪異的存在。角・牙・金棒・虎皮の腰巻という姿が有名だが、時代や地域によって鬼神・山の怪・地獄の獄卒・人間の異形化など多様な意味を持…
日本各地の山間部で語られる老女・老婆の怪異。人を食べる恐ろしい型だけでなく、人家で子守や仕事を手伝う型、贈与者的な型もあり、地域や物語によって性格が大きく異なる。
雪の夜に現れる白い女性として日本各地に伝わる怪異。地域によって呼び名・姿・行動が異なり、小泉八雲『怪談』の「雪女」によって広く知られる物語像も形成された。
大江山を根城とする鬼の首領として知られる伝説上の存在。御伽草子では源頼光らが山伏姿で潜入し、鬼に毒となる酒を飲ませて討伐する。茨木童子との関係や出生地には複数の伝承がある。
HorrorPortでは、論文・公的資料・新聞・博物館資料・書籍・公式情報などを区別して管理し、何を裏付ける資料なのかが分かるように表示します。噂を裏付ける資料は「噂が存在すること」の根拠であり、超自然現象そのものの事実認定ではありません。
国際日本文化研究センター「妖のイメージ〜日本人の想像力」雪女
本文末の参考資料として使用
国立国会図書館 NDLイメージバンク「鳥山石燕の妖怪図鑑でみる妖怪の世界」
本文末の参考資料として使用
国際日本文化研究センター 怪異・妖怪伝承データベース「バケモノエ」
化物絵・百鬼夜行系資料における名称と図像の扱いを補強
国際日本文化研究センター 怪異・妖怪伝承データベース「バケモノエ」
本文末の参考資料として使用