知らない番号からの留守電
夜の十一時を過ぎたころ、スマホに留守番電話が一件入っていた。
番号は表示されていない。
再生すると、しばらく雑音が続いた。
そのあと、男の声がした。
「明日、駅に行くな」
聞き覚えのある声だった。
自分の声だった。
気味が悪かったが、いたずらだと思った。
翌朝、私はいつも通り駅へ向かった。
改札の手前で、スマホが震えた。
また留守番電話。
再生する。
「戻れ」
やはり自分の声だった。
さすがに怖くなって、会社へ体調不良の連絡を入れた。
その日の昼、駅で人身事故があった。
事故が起きた時刻は、私がいつも改札を通るころと重なっていた。
助かった、と思った。そのはずだった。
私は震えながらニュースを見た。
夜になって、また留守番電話が入った。
今度は長かった。
泣いている声が聞こえた。
そして最後に、私の声が言った。
「今日じゃなかった」
翌朝、着信履歴を見ると、留守番電話は一件も残っていなかった。
ただし、電話帳に知らない番号が一つ増えていた。
登録名は、私の名前だった。
