残穢(小説)

『残穢』は、小野不由美による長編ホラー小説です。 新潮社公式では単行本が2012年7月20日に刊行され、第26回山本周五郎賞を受賞した作品として案内されています。物語は、ある部屋で聞こえる奇妙な音をきっかけに、住人・土地・過去の出来事をたどっていく調査型の構成を取ります。

『残穢』とは

『残穢』の特徴は、最初から大きな怪異が姿を現すのではなく、生活空間の中にある小さな違和感から調査が始まることです。畳を擦るような音、赤ん坊の泣き声、床下を這うような気配といった現象を手がかりに、「この場所では過去に何があったのか」を掘り下げていきます。

怖さの中心は「土地の履歴」

本作では、現在起きている怪異だけを見るのではなく、場所の履歴を遡ることで恐怖の輪郭が変わっていきます。住人が入れ替わっても、建物が変わっても、過去の出来事が完全には切り離されないという発想が作品全体の不安を支えています。

派手な驚かせ方より、調べるほど怖くなる

突然の大音量や怪物の出現だけで恐怖を作る作品ではありません。情報を集め、昔の住人や土地の由来を確認し、別々に見えた出来事がつながっていく過程そのものが怖さになります。読者も登場人物と同じように、調査結果が増えるほど「偶然では済まないのではないか」と感じる構造です。

書誌情報

著者 小野不由美
単行本刊行 2012年7月20日
出版社 新潮社
文庫版ISBN 9784101240299
受賞 第26回 山本周五郎賞

文庫版について

国立国会図書館サーチでは、新潮文庫版『残穢』のISBNが978-4-10-124029-9、2015年8月刊と確認できます。HorrorPortでは単行本の初出年と、現在参照しやすい文庫版の書誌を分けて管理しています。

映画版との関係

新潮社公式では、2016年1月公開の映画『残穢【ざんえ】―住んではいけない部屋―』への映画化も案内されています。HorrorPortでは原作小説と映画を別の作品データとして登録し、原作の書誌情報と映画の上映・キャスト情報を混在させないようにしています。

HorrorPortで見る『残穢』の恐怖構造

この作品の怖さは「音」そのものより、音の原因を調べた先に別の時代・別の住人・別の出来事が現れる点にあります。最初は室内の異変だったものが、建物や土地の歴史へ広がることで、逃げる対象が一つの部屋ではなくなっていきます。

どんな人に向いている?

  • 調査型・記録型のホラーが好きな人
  • 土地や家に残る因縁を扱う怪談が好きな人
  • ジャンプスケアより、じわじわ不安が積み重なる作品を読みたい人
  • 原作と映画版を比較して楽しみたい人

単行本と文庫版ではページ数が違う

新潮社の2012年単行本は344ページ、2015年の新潮文庫版は368ページです。内容の核は同じ作品ですが、HorrorPortでは初出年と現在参照しやすい文庫書誌を分けて記録しています。

章立てそのものが“過去へ遡る調査”になっている

目次は「今世紀」から「前世紀」「高度成長期」「戦後期」「戦前」「明治大正期」へと遡っていきます。怪異の原因を前へ前へ追うのではなく、土地の時間を逆向きに掘る構成が、調査するほど古い因縁へ近づく怖さを強めています。

研究資料・参考文献

HorrorPortでは、公式情報・公的資料・論文・報道・書籍などの出典を区別して管理しています。噂に関する出典は「その噂が存在すること」の確認資料であり、超自然現象そのものを事実認定するものではありません。

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