怖い話・怪談

最後の一段

公開: 2026年9月23日 更新: 2026年9月25日
読み終えたあと、 背後 が少し気になる。
夜の階段で、数えた段数が一段だけ合わない。短い怖い話。

最後の一段

古いアパートの三階に住んでいたころ、私は夜中に階段を上がる癖があった。

エレベーターがなかったから、帰宅するといつも一段ずつ数えた。

一階から二階まで十三段。踊り場を曲がって、二階から三階まで十三段。

合計二十六段。

ある晩だけ、二十七段あった。

酔っているのかと思って、いったん下まで戻った。

もう一度数えた。

二十六。

気のせいだと思って三階へ上がると、廊下の奥に誰かが立っていた。

人影は私の部屋の前にいた。

声をかけようとした瞬間、影がゆっくりこちらを向いた。

顔は見えなかった。

ただ、足元だけが見えた。

靴を履いていなかった。

そしてその人は、階段のほうへ歩いてきた。

怖くなって私は部屋へ逃げ込み、鍵をかけた。

数分後。

廊下から、小さな声が聞こえた。

「二十七」

翌朝、管理人に昨夜のことを話した。

管理人は階段を見て、少し黙った。

「昔ね、ここの階段から落ちた人がいたんです」

私は聞いた。

「何段目で?」

管理人は首を横に振った。

「それが、警察の記録では二十七段目って書いてあるんですよ」

この階段は、今も二十六段しかない。

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