開かないロッカー
高校二年のとき、教室の後ろに一つだけ使われていないロッカーがあった。
鍵穴が壊れていて、扉も開かなかった。
ある朝、その中から音がした。
コン、コン、コン。
三回。
最初は誰かのいたずらだと思った。
でも翌朝も、同じ時間に三回鳴った。
三日目。
友達と二人で早く学校へ行き、ロッカーの前で待った。
午前七時四十二分。
コン、コン、コン。
友達が笑いながら、扉を三回叩き返した。
その瞬間、中からものすごい勢いで何かが扉を叩いた。
バン、バン、バン、バン。
私たちは逃げた。
廊下を曲がるまで、背後で叩く音が止まらなかった。
金属の扉が震える音だけが、教室の中で何度も反響していた。
友達は途中で一度も振り返らなかった。
昼休み、先生に事情を話した。
先生は笑わなかった。
放課後、業者を呼んでロッカーを開けた。
中は空だった。
ただ、扉の内側に黒いマジックで文字が書いてあった。
「三回までは、こっちから」
その下には新しい文字が増えていた。
「四回目は、そっちから」
次の日から、友達は学校へ来なくなった。
