難易度:中級|まず本文を読んでから、下の解説を確認してください。
見守りカメラの死角
猫の様子を見るため、リビングに見守りカメラを置いている。
家具の上に固定し、部屋全体が映るようにした。
昼休みにアプリを開くのが習慣だった。
ある日、映像を見て違和感があった。
ソファが少し右に寄って見える。
猫がぶつかったのだと思った。
次の日は、テレビが少し左に見えた。
三日目、窓が画面の端から半分消えていた。
カメラが動いている。
帰宅して確認したが、土台はテープで固定されたままだった。
過去の録画を早送りした。
猫しか映っていない。
誰もカメラに触れていなかった。
安心しかけたとき、私は気づいた。
毎日、午後一時ごろになると、画面がほんの一秒だけ真っ暗になる。
その直後、画角が数センチ変わっている。
カメラの電源コードは、本体のすぐ後ろに差さっている。
そして本体の真後ろだけは、カメラには映らない。
この話の意味・解説
録画に人が映らないのは、誰もいないからとは限りません。カメラの真後ろは死角で、そこにいる人物が一度電源を抜き、少し向きを変えて差し直せば、その瞬間の姿は記録されません。毎日の一秒の暗転がその手掛かりです。
怖いポイント
監視カメラを置くことで安心した主人公が、『カメラに映らない場所』の存在に気づく構造です。見えている範囲だけを安全だと思う怖さを狙っています。
