都市伝説

口裂け女

読み方: くちさけおんな

1970年代末に岐阜県周辺から全国へ急速に広まった、日本を代表する都市伝説のひとつ。マスクで口元を隠した女性が「私、きれい?」と尋ねる型が広く知られるが、細部は地域・時期によって異なる。

情報確認: 2026年9月22日

怪異プロフィール

読み方
くちさけおんな
別名
口裂け女
怪異の種類
都市伝説
地域
日本、岐阜県
時代
昭和
舞台
学校、道路・路地
モチーフ
女性、追跡
起源・成立
民間伝承、学校の噂、新聞・雑誌
分類補足
現代日本の都市伝説として扱う。特定の固定伝承ではなく、1978〜79年の流行過程で多数の変種が生まれた。

特徴・性質

主な特徴

  • 1978年末〜1979年に岐阜県周辺から全国へ広まった
  • 女性の姿で語られる
  • マスクなどで口元を隠す型が有名
  • 「私、きれい?」と尋ねる型が広く知られる
  • 地域・時期によって設定が大きく異なる
  • 噂の伝播過程で設定が追加・淘汰された

姿・外見

女性の姿で、マスクなどで口元を隠していると語られることが多い。マスクを外すと口が大きく裂けているという型が有名。服装や凶器などには地域差・時期差がある。

行動・特徴

通行人や子どもに近づき、「私、きれい?」などと問いかける。返答後に口元を見せたり、相手を追いかけたりする話が広く知られる。

能力・現象

非常に速く走る、追いつかれるなどの話が広く知られるが、速度や能力の細部には多数の変種がある。

出現条件・状況

通学路や道路など、子どもの日常生活圏で遭遇する話として語られることが多い。特定の出現条件は地域・時期によって異なる。

よく知られている言葉・フレーズ

私、きれい?

成立・由来

成立・伝承時期
1978年末〜1979年
確認できる古い時期
1978
成立・伝承地域
岐阜県周辺。岐阜県図書館の記録では岐阜市内で1978年暮れごろから話題となり、発信地には美濃加茂市・八百津町・岐阜市など複数説がある。

口裂け女は、1970年代末の日本で急速に広まった代表的な都市伝説です。マスクをした女性が子どもに近づき、「私、きれい?」と問いかける——現在よく知られるこの型は、最初から完成していたわけではありません。岐阜県周辺で語られた噂が子どもたちの間で広がる過程で、外見、問いかけ、逃げ方、弱点などの要素が次々に加わっていきました。

口裂け女とは

口裂け女は、口が大きく裂けた女性として語られる現代日本の怪異です。典型的な語りでは、女性はマスクなどで口元を隠し、通りかかった相手に「私、きれい?」と尋ねます。返答によってマスクを外し、裂けた口を見せるという展開が広く知られています。

ただし、細部は地域や時期によって大きく異なります。凶器、服装、走る速さ、逃げるための言葉、好物や苦手なものなどには多数の変種があり、「これが唯一の正しい口裂け女」という固定した伝承ではありません。

いつ、どこで広まったのか

岐阜県図書館のレファレンス記録では、口裂け女の噂は1978年暮れごろから翌1979年にかけて岐阜市内で話題になり、その後全国へ広まったとされています。発信地については、美濃加茂市、八百津町、岐阜市など複数の説が記録されています。

国立国会図書館が所蔵する『岐阜日日新聞』では、1979年1月26日朝刊1面の「編集余記」に口裂け女が登場していたことが確認されています。また岐阜県図書館の調査では、同年6月15日夕刊に「岐阜で生まれた口裂け女 騒ぎやっと下火へ」という記事が掲載され、想像図も載っていました。

最初から「私、きれい?」だったわけではない

現在の口裂け女像は、噂が広がる中で形づくられたものです。國學院大學の民俗学者・飯倉義之教授は、初期の話を岐阜県八百津町での目撃談として紹介し、その後子どもたちの間で語られるうちに「マスクをしている」「私、きれい?と聞く」「赤いコート」「非常に速く走る」などの要素が加えられていったと説明しています。

さらに、「ポマードが苦手」「べっこう飴が好き」「三人姉妹」といった有名な設定も後から定着した要素とされています。一方で、かつて語られながら残らなかった変種もあり、口裂け女は人から人へ伝わる過程で内容が選別・変化してきた怪異だと見ることができます。

代表的な語りの流れ

  • マスクなどで口元を隠した女性が現れる
  • 「私、きれい?」などと尋ねてくる
  • 返答すると口元を見せる、または相手を追いかける
  • 逃げ方や対処法として、特定の言葉や物が語られることがある

この流れはあくまで代表例です。口裂け女の伝承は地域差が大きく、すべての要素が同じ話に含まれるわけではありません。

なぜこれほど広がったのか

口裂け女は、特定の作者が作ったキャラクターというより、多くの人が噂を語り継ぐ中で形を変えていった「現代の民話」として研究されています。学校や地域の子ども社会では、友人から聞いた話に別の設定が加わり、それがまた次の人へ伝わります。

この仕組みにより、「どうすれば助かるのか」「どれほど速いのか」「なぜ口が裂けたのか」といった説明が後付けされ、より語りやすく、怖く、印象に残る形へ変化していきました。

口裂け女は実在したのか

口裂け女については、実在する特定人物の存在が確認されたという資料ではなく、噂・目撃談・新聞報道・子どもたちの語りを通じて広まった都市伝説として扱うのが適切です。新聞に掲載された事実と、伝承の内容そのものが事実であることは別です。

現在まで残った理由

「日常の帰り道に現れる」「短いやり取りだけで成立する」「答え方によって結末が変わる」という構造は、子ども同士で伝えやすく、時代ごとに新しい設定を付け足しやすい特徴を持っています。そのため、1970年代末のブームが過ぎた後も、漫画、映画、テレビ、インターネットなどを通じて繰り返し再解釈されてきました。

この怪異にまつわる年表

  1. 1978年

    口裂け女の最古確認年・初出年

    1978年末〜1979年

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研究資料・参考文献

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