Ib

『Ib』は、kouriが2012年に公開したフリーゲームを、本人が約10年後に作り直した2Dホラー探索アドベンチャーです。HorrorPortでは2022年4月11日にSteamで発売されたリメイク版を正本として管理します。美術館という静かな公共空間が異界へ変わり、絵画や彫刻そのものが謎・恐怖・物語になることが最大の特徴です。

『Ib』とは

主人公は少女イヴ。両親と美術館を訪れ、作品を見て回っているうちに、いつの間にか館内から人が消えてしまいます。誰かを探して歩くうち、美術館そのものが現実からずれ始めます。

PLAYISMは本作を、辺りを調べ、アイテムを見つけ、仕掛けを解きながら進むホラー探索型アドベンチャーと説明しています。プレイヤーの行動や選択によって結末が変わるマルチエンディング作品です。

原作は2012年のフリーゲーム

リメイク版の出発点は、kouriが2012年2月に公開したフリーゲーム版『Ib』です。PLAYISMは2022年2月27日をオリジナル版公開10周年として扱い、2024年2月27日には12周年を告知しています。

したがって、HorrorPortでは「原作・オリジナル版=2012年」「リメイク版=2022年」と分けます。現在の記事ID513はリメイク版を正本としており、2012年の情報を2022年版の発売情報へ上書きしません。

現在遊べる機種

2026年9月28日時点で、PLAYISM公式の現行ページは対応機種としてPC、Nintendo Switch、PlayStation 4、PlayStation 5を掲載しています。

  • Steam(Windows):2022年4月11日
  • Nintendo Switch:2023年3月9日
  • PlayStation 4 / PlayStation 5:2024年3月14日

Steam版から始まり、Switch、PS4・PS5へ順次展開されました。PlayStation版にはトロフィー機能が実装され、PS5版のホーム画面にはkouri描き下ろしイラストが使われています。

スマホ版はある?

2026年9月28日時点で、PLAYISM公式ページの対応機種にiOS・Androidは掲載されていません。公式に確認できる現行プラットフォームはPC、Nintendo Switch、PS4、PS5です。

「Ib ホラーゲーム スマホ」で探している場合、非公式な移植情報や類似タイトルと混同しないことが重要です。HorrorPortでもiOS・Androidは対応プラットフォームへ付与していません。

リメイク版は何が変わった?

PLAYISMによると、リメイク版では原作の「ゲームが苦手な人でも楽しめる」というコンセプトを維持しながら、グラフィック、仕掛け、演出、操作面を幅広く作り直しています。

ほぼすべてのグラフィックを刷新

マップ、キャラクター、スチルなどのグラフィックが大きく描き直され、新しい美術品やデザイン変更された美術品も追加されました。

新しい謎・仕掛け・演出

原作のギミックをそのまま高解像度化しただけではなく、美術作品と関係が薄かった仕掛けを見直し、新しいパズルや演出へ変更した部分があります。

会話システム

同行キャラクターと会話できるシステムが追加されました。状況に応じた会話だけでなく、行き詰まったときにヒントが得られる場合もあります。

ズームモード

小さなアイテムや美術品を見やすくするズームモードが追加されました。一部を除き、ズーム状態のまま進めることもできます。

操作ガイドと分かりやすさの改善

kouriは開発者インタビューで、原作では操作ガイドがほぼなかったため、リメイクではメニュー操作など基本的なガイドを追加したと説明しています。扉の状態を視覚的に分け、パズルで何が起きたか分かりやすくするなど、細かな改善も多数入れています。

なぜ10年後にリメイクしたのか

kouri本人によると、大きな理由は原作が古いRPGツクール2000で作られており、新しいPCで動かないという連絡が増えたことでした。

遊びたいのに遊べない人がいる状況に加え、Steam版を求める声も多かったため、「やるならきちんと作り直したい」と考えたと説明しています。

つまりリメイクは、単なる10周年記念商品ではなく、古い実行環境から作品を救い上げ、次の環境へ持ち越す意味も持っています。

逆に「変えなかったこと」

リメイクでは多くの部分を手直ししていますが、kouriは「物語を大きく変えすぎること」と「安易にエンディングを増やすこと」は避けたと話しています。

新しいエンディングも検討したものの、これ以上増やすと蛇足になると考えたという説明は重要です。kouri自身は、物語について「少し物足りないくらいで終わる」のが理想だと述べています。

リメイクで情報を増やしすぎず、余白を残す。この判断は『Ib』の怖さともよく合っています。

美術館がホラーに向いている理由

kouriはインタビューで、『Ib』の魅力について「美術館という面白い場所が舞台であること」を挙げ、美術館を舞台にしたゲームが意外に少なかったことも目新しさにつながったのではないかと振り返っています。

美術館は、本来は静かに作品を見る場所です。大声を出さず、走らず、展示物へ触れない。つまり、日常の中でも行動を抑制される空間です。

そこから人だけが消え、作品が異常な振る舞いを始めると、プレイヤーは「触れてはいけない物に囲まれている」感覚を強く持ちます。

美術品がただの背景ではない

『Ib』では、絵や彫刻は雰囲気づくりの装飾ではありません。タイトル、形、色、展示方法などが謎解きや移動、人物関係と結びつきます。

kouriはリメイク時、「これを『Ib』でやる意味があるか」と感じる、美術品と関係の薄いギミックをなるべく修正したと語っています。

つまりリメイク版では、「美術館だから成立するゲーム」にさらに寄せています。これは単なる遊びやすさ改善ではなく、作品テーマの純度を上げる修正です。

戦闘より観察と選択

『Ib』は敵を倒し続けるアクションゲームではありません。展示物の変化、文章、色、配置、同行者の反応などを観察し、必要な物を見つけて進みます。

そのためプレイヤーの強さは攻撃力ではなく、「気づけるか」「覚えているか」「選べるか」にあります。

ゲームが苦手な人でも楽しめるという原作コンセプトと、観察中心のホラーが一致しています。

マルチエンディング|選択が人物関係に残る

PLAYISM公式は、本作をプレイヤーの行動や選択によって結末が変わるマルチエンディング作品と説明しています。

重要なのは、最後の一問だけでエンディングを選ぶ構造ではなく、途中の行動や人物との関わりが積み重なることです。だから初見では「最適解」を探すより、kouri本人が勧めるように、事前情報を見ず自分の思うまま進めたほうが作品の余韻を受け取りやすくなります。

HorrorPort独自分析|『Ib』の恐怖構造

以下は公式情報・作者発言と分けた、HorrorPortによる作品構造の分析です。

恐怖構造1|静かな公共空間から人だけが消える

美術館は最初から暗い廃墟ではありません。家族連れも来る、管理された文化施設です。そこから「人だけがいなくなる」ことで、安全を保証していた社会そのものが消えます。

建物が同じなのに、人が消えただけで空間の意味が変わる。この変化が『Ib』の第一段階の恐怖です。

恐怖構造2|見る側と見られる側が逆転する

美術館では、人間が作品を見るのが普通です。しかし『Ib』では、作品の側が動き、追い、存在感を持ち始めます。

鑑賞者だったイヴが、展示物から観察される側へ回る。この立場の反転が、美術館という舞台をホラーへ変えます。

恐怖構造3|説明しすぎない

kouriは、リメイクでも物語を大きく変えず、新しいエンディングを無理に増やさなかった理由として、少し物足りないくらいで終えることを理想としています。

この余白によって、ゲルテナ作品や異界のすべてが一つの設定文で説明されません。理解できない部分が残るため、美術館を出ても想像が続きます。

恐怖構造4|怖さと美しさを同じ作品に入れる

展示物は不気味ですが、同時に魅力的でもあります。すべてを「醜い怪物」にしてしまうと、近づきたい理由がなくなります。

『Ib』は、見たい・調べたい・でも近づくのが怖い、という矛盾を作ります。ホラーと鑑賞行為が同じ方向に進みます。

恐怖構造5|人物への愛着が探索の意味を変える

一人で美術館を歩く怖さと、誰かと行動する怖さは違います。同行者ができると安心が生まれる一方、その人物を失う可能性が新しい恐怖になります。

会話システムを追加したリメイク版では、同行者への理解が増えるため、選択や分岐の感情的な重みも強くなります。

原作プレイヤーにもリメイク版をすすめられる理由

PLAYISMは、原作を遊んだ人も初めての人も楽しめるよう調整したと説明しています。実際、変更点はグラフィックだけではありません。

  • ほぼ全グラフィックの刷新
  • 新規・再設計された美術品
  • 新しいパズル・仕掛け・演出
  • 会話システム
  • ズームモード
  • 操作ガイド
  • 扉やイベント状態の視認性改善
  • 公式ローカライズを前提にした設計

一方、物語の大筋とエンディングの考え方は壊していません。「別作品に作り替える」のではなく、原作の核を保ったまま、現在の環境で遊びやすく再構築した作品です。

PS4・PS5版だけの要素

PLAYISMは2024年3月14日のPlayStation版発売時、PS4・PS5版にトロフィー機能を実装したと発表しています。PS5版のホーム画面背景にはkouriの新規描き下ろしイラストも表示されます。

また同時期にSteam・Nintendo Switch版にも不具合修正アップデートが行われています。プラットフォームごとの違いを調べる場合、発売日だけでなくこうした機能差も確認すると分かりやすいです。

どんな人に向いている?

  • 美術館・展示空間を舞台にしたホラーが好きな人
  • 戦闘より探索・謎解き・観察を重視したい人
  • ドット絵や2D表現で不気味な世界を楽しみたい人
  • キャラクター同士の関係や会話を重視する人
  • 一度クリアした後、別の選択でエンディングを見たい人
  • ゲームが得意ではないがホラーゲームを遊んでみたい人

強いアクション操作や高速反射を要求するタイプではありません。ただし、追跡場面や不穏な演出、作品の変化などホラー要素はしっかりあります。

ネタバレあり|『Ib』で「選ぶこと」が怖い理由

ここからはマルチエンディング構造と人物関係に関するネタバレを含みます。

『Ib』では、プレイヤーが何気なく行った行動が、人物との関係や結末に影響します。重要なのは、すべての選択肢が「善」「悪」と表示されるわけではない点です。

その場では小さな行動に見えても、後から関係が変わる。だから攻略情報を先に見て最適なフラグだけを選ぶと、作品が持つ「自分がどう振る舞ったか」という感覚が薄れます。

kouri本人が、初めて遊ぶ人にはできれば何も見ず、自分の思うまま遊んでほしいと話しているのは、この作品構造とよく一致しています。

美術館そのものを「ひとつの人物」として見る

HorrorPortでは、『Ib』の異界美術館を単なる舞台ではなく、プレイヤーの行動へ反応する存在のように捉えます。

作品が変わる。通れた場所が変わる。展示物が意味を持つ。同行者との関係によって同じ場所の印象も変わる。

館内を進むことは、マップを攻略するだけでなく、美術館のルールを少しずつ学ぶことです。そのルールが完全には説明されないため、最後まで「ここでは何が起こり得るのか」が消えません。

再プレイすると見えやすいポイント

  • 最初の通常の美術館と、異界化した後の展示の対比
  • 作品名・色・形が謎解きへどう使われるか
  • 会話システムで同行者の反応がどのタイミングで変化するか
  • 初回では偶然選んだ行動がエンディングへどう影響したか
  • リメイクで追加・再設計された美術品
  • 原作から大筋を変えず、分かりにくさだけを調整した箇所

よくある疑問

『Ib』の原作はいつ?

オリジナルのフリーゲーム版は2012年2月公開です。PLAYISMは2月27日を周年日として扱っています。

2022年版はリマスター?

単なる高解像度化ではなくリメイクです。グラフィック、パズル、演出、操作、会話システムなど複数の要素が作り直されています。

スマホで遊べる?

2026年9月28日時点のPLAYISM公式ページでは、対応機種はPC、Nintendo Switch、PS4、PS5です。iOS・Androidは現行対応機種として掲載されていません。

Switch版とPS版の発売日は?

Switch版は2023年3月9日、PS4・PS5版は2024年3月14日です。

原作を遊んでいても楽しめる?

はい。PLAYISMとkouriは、原作経験者にも新しい体験になるよう、美術品、パズル、演出などを変更・追加したと説明しています。

リメイクでエンディングは増えた?

kouriは新しいエンディングも検討したものの、蛇足になると考えて安易には増やさなかったと説明しています。物語の大筋も大きく変えない方針でした。

参考・確認資料

研究資料・参考文献

HorrorPortでは、公式情報・公的資料・論文・報道・書籍などの出典を区別して管理しています。噂に関する出典は「その噂が存在すること」の確認資料であり、超自然現象そのものを事実認定するものではありません。

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